お正月にお花を飾る意味とは?

毎年、12月の27日~29日はお正月花のおけいこ。

今年もお正月花のおけいこがスタートしました。

1年の締めくくりでもあり、お正月の花材にはそれぞれいわれがあり、扱い方も特殊なので、喪中の方を除いて、必ず全生徒さんに受講していただいています。

今年はお正月花のディスプレイも何件かご依頼いただき、正に師走。
おかげさまで忙しくさせていただいております。
でも、意外とこの年末のバタバタも嫌いではなかったり。

家にいないから正月飾りは飾らない?

楽しい年末年始。
皆さんご実家に帰ったり、旅行に行ったり、楽しい計画を立てていることと思います。

年末年始は家にいないから、お花やお飾りは飾らないんだーという方が結構いるのですが、個人的には、ちょっと違和感を感じます。

私の実家では、年末年始両親の別荘で過ごすことが多かったですが、普段住んでいる家にも必ずお飾りをして出ました。

そういう仕事をしていて、手に入りやすいから、というのは、もちろんありますが^^;

生花は当然手入れが出来ないので、アートフラワーの飾りを置いていくなど、どちらかというと「いないからこそ」という感覚でした。

普段暮らしている家に感謝の気持ちを込めて、「いないからこそ」飾っていく。

日本人の暮らしって、こういう見えないものへの配慮や感謝で豊かになっていると思うのです。

確かに、誰も見ないのに無駄だけど。

それでも、普段の生活を守ってくれている家への感謝を忘れない。

ある意味で、とても贅沢で豊かな考え方ではないでしょうか?

そういうことって日本人の暮らしの中に沢山あって、失ってはいけない文化ではないかなーと思うのです。

「陰膳を据える」なんて風習も似たような習慣ではないでしょうか?

長期間不在にしている家族の無事を祈って、その人の分の食事も用意する。

仏壇やお墓に供え物をする、というのも、何もご先祖様が食べるわけではないのに準備をしますね。

一見、無駄に見えるものこそ、日本人の心を支えてきたのではないでしょうか。

そういえば、普段から綺麗にしているから年末の大掃除もしない、という家も多いみたいですね。

私は横着ものだから、夫には「普段からやってれば、そんなに大変じゃないんじゃない?」と言われるのですが^^;

大掃除も、綺麗だからやらなくていい、とか、そういう意味ではないと思うのです。

伝統文化や風習って、ただそれ自体に価値があるわけではなく、その中に込められた考え方や思いに意味があると思うのです。

別に大掃除を必ずすべき、ということではなく、新年を迎えるために、ちょっと心を入れて掃除をする、という心の節目が大事。

伝統文化である華道を習う、というのも同じ。

だけど、お花を習うことって、単にお花を上手に生けられるようになるというだけではなく、そういった心の在り方というか、日本人の祖先が大事にしてきたことや、心を豊かにする考え方を学ぶ。

だからこそ500年以上も華道が絶えずに伝えられてきたのではないでしょうか。

お正月に飾るお花の意味

では、お正月花はなんで飾るのか?

お正月に飾るお花には、それぞれ謂れがありますので、ちょっとだけ紹介しますね。

松:神様の依り代。
年神様が、松の木にやってきてお休みになると言われていますね。
松と言っても、生け花には様々な種類が使われていて、よく使われるものだと⼤王松、若松、根引き松、五葉松などがあります。

左が若松で、右が大王松です。

菊:不老長寿

千両、万両:その名の通り、財運を上げると言われる。
上の写真の赤い実が千両です。
千両は葉の上に実がつき、万両は葉の下に実がつくのが特徴です。

十両、一両というのもあり、一両は別名アリドオシとも言われ、「千両、万両、有りどおし」というゴロ合わせでセットで飾られることもあります。

南天:同じく赤い実ですが、葉が小さく特徴的なので見分けられます。

この写真は夏の南天なので青々して実がありませんが、こんな感じの細かい葉に実がついていれば南天。

葉ボタン:よくキャベツと間違われる、アレです。吉事が重なるといわれます。

竹:しなやかで折れない。

梅:紅⽩でめでたい。天神様の花。
早春他の花より先に咲くので、「出世」などの意味もある。

普段の生活を守る家だからこそ大切にしたい

どうでしたか?
こんな風にお正月のお花には、一つ一つ意味があります。

「いないから飾っても意味がない」ということではなく、普段住んでいる家は自分の生活の基盤であり、そこで過ごす一日一日の在り方が私たちの人生を作っている。

そう考えると、留守にするからこそ、家に感謝をして縁起のいい花を置いて守ってもらう、という考え方。

冬の人がいない冷たい家なら松や菊なんて1~2週間置いても全然枯れないです。

とはいえ、生花は心配だと思うので、アーティフィシャルのお花でもいいと思います。

何もない暗い家に帰るより、帰って来た時の気分が全然違うと思いますよ。